過ちを補い遺ちたるを拾う
せんべを与へながら
お八重さん (せんべを与へながら)あんまり減つてるとわかるから、もうこれだけよ。 おしまさん わからないもんだね。内幕つてものは……。 お八重さん それからつていふもの、奥さんはそれやあたしをよくするの。 おしまさん あひみ互つてことがあるからね。 お八重さん だけど、いつまでも、こんな風にしてていいのかねえ。相談しよつたつて、相談する人はなし……。
お前さんは、また
お八重さん ……。 おしまさん お前さんは、また、それとは違ふよ。なんと云つても相手は御主人なんだし、それに、これまで、気だての好い娘だつていふんで通つてるあんた のことだから、誰も、それを知つたつて、悪く思やしないさ。 お八重さん 誰が云ひふらしたんだらう、そんなこと……。 おしまさん 誰も云ひふらしやしないさ。ひとりでに知れて行くのさ。 お八重さん (途方に暮れて)困つちまふわ、あたし……。 おしまさん 奥さんは、まだ知らないんだらう。 お八重さん うすうす感づいてるらしいの。
義務? 何んの義務?
シゲ 義務? 何んの義務? 誰への義務? しかし、愛情が高いものであり、純粋なものであれば、人間の義務は自ら、その中に含まれるんぢやないかし ら。約束によつて結ばれた夫婦の間に、本当の愛情なんてないとすれば、勿論、本当の、義務もないんだと思ふが、どうだらう。ただ、あるのは、世間の義理と いふやつだけさ。むしろ、それは安易な秩序を保つための、世俗的な束縛にすぎないんぢやないかしら? 校長 夫の方は、それでまあいいとして、子供に対する母親の……。
いまさらそれを言つたつて
校長 いまさらそれを言つたつて始まらないわ。あんたにはイワさん、あたしにはロクつていふ、どうにもならない綱がついてゐるんだから、その綱をどうす るかが問題なのよ。あたしには、それを、どうすることも出来ない。子供がゐるために、それが出来ないのよ。あたしは女だから、ただ、それを苦しいと感じる んだわ。胸が、あんたの……やうに、あつく、がつしりしてゐないからよ。
場所は一と同じ
場所は一と同じ。 小学校長ガクが、シゲの前に、やゝ女らしい姿態を示して、横坐りに坐つてゐる。 校長 (藤村の詩を低く口吟み、うつとりとした眼つきでシゲを見あげ、その視線を眩しさうに伏せて)ゆうべあれから、あたし、どうしても眠られなかつた わ。 シゲ わしも、うちのやつのいびきを、いつまでも聞いてたよ。そしたらもう、夜が明けた。 校長 不思議なもんね。異性同士、心が通じるつてことは、やつぱりあるんだわ。 シゲ わしは、生れてはじめて、悲しくもないのに、泣いちまつた。
副業を探す時の求人に注意。
収入に不安のあるサラリーマンや、小さな子供のいる専業主婦の方の中に副業を始める人も多くなりました。 副業の求人情報も多くあります。 例えば早朝の清掃や宅配便の仕分け作業、夕方からのファーストフード店やファミレス勤務など。 在宅でスキルを活かし、ホームページの作成や翻訳、アクセサリー作りをする人もいるようです。 そんな副業ブームのなか、当然、危険な求人もあるので注意してください。
学習塾に通う子ども
昔に比べて、学習塾に通っている子どもの数が増えたような気がします。 中学生や高校生ならまだわかるのですが、最近は小学生でも塾に通っている子が珍しくないそうなのです。 友人のお子さんはいま小学校低学年なのですが、そろそろ塾に通わせようかと思っているという話を聞いて、驚いてしまいました。 私が小学校の頃は、宿題以外の勉強なんてしませんでした。
Tシャツのキレイなたたみ方
夏場など洗濯をする機会が増えると頭を悩ませるのが、大量の服をたたむ作業です。中でもTシャツは、適当なたたみ方をしてしまうと、シワができてしまったり、折れ跡が残ってしまったりしやすいため大変ですよね。 しかし、そんなTシャツのたたみ作業も正しいたたみ方を覚えてしまえば、ほんのちょっとした時間でパパっとこなすことができるのです。
なぜ被リンクが効果的なSEO対策なのか
なぜ被リンクが効果的なSEO対策だといえるのかと言うと、検索エンジンがそのように決めているからに他なりません。 検索エンジンというのは、そこで働いている人たちが自身の目で確認してサイトを判断しているわけではありません。 一定の機械的な評価の基準に従ってサイトの評価を判断しているのです。
なぜか嫌われているグアルディオラ
バイエルンの監督のグアルディオラが選手に不人気なのは何故なんだろうと思いました。 最初に聞いたのはイブラヒモビッチの口からでした。 イブラがバルサ時代の監督でしたが、 あまりコミュニケーションが取れなくて、 彼との関係が悪化したのだと言っていました。 世界のトップクラスの仲たがいですから我々の感覚では理解できないスケールの違いを感じました。
埃まみれのお片づけ
娘を大学進学で送り出しました。 引越しで溜まりに溜まった不用品が多くてびっくりしました。 女子はなんでもとっておくのが好きなんですね。 中学生の時のプリントも出てきたし、消しゴムやキャップみたいな文房具の山も出てきました。 思い出は詰まっているけれども、あまりも埃まみれで、掃除を随分とサボってきたことに気づきました。 引越し先ではちゃんと一人でやっていけるものなんだか・・・。
もう酒を続ける元気は
京野等志は、もう酒を続ける元気はなかつた。味気ない、うらぶれた気持であつた。なんという時代ばなれのした、芝居にもならぬ芝居を演じなければならぬ のか! 芸者になつた妹に会う方法は、こんなところへ呼び出す以外に、もつとなにかありはせぬか、と、彼は、やつと気がついた。 そこへはいつて来た女中は、小菊という芸者がいますぐ来ることを伝えた。が、彼は、思わず腰をうかして、 「ちよつと、ちよつと……。せつかくだが、おれは気が変つた。
京野等志は、この話を聞いて
京野等志は、この話を聞いて、驚くよりも、唖然とした。美佐という妹の正体がまつたくつかめなくなつた。妻子のある男との恋愛関係に、どれほどの悦びと 悩みがあつたか、それを知るひまもなく、どんな経路を辿つたにもせよ、彼女の運命は、そこまで彼女を引ずつて行つたことを、今聞かされて、彼の胸は張り裂 けるようだつた。もつと早く、救援の手を差しのべることを、なぜしなかつたか? 彼女の不幸を予感できなかつたわけではないが、それよりも、彼女の勇気 と、生きる力を信じようとしたからであつた。
深志からも、まつたく音沙汰がなかつた
深志からも、まつたく音沙汰がなかつた。母がときどき、前に荷物を運んだ運送屋に頼んで、下着類などを宿に届けさせているらしかつた。 その日もちようど日曜であつた。多津は、前の日から外出の用意をし、朝食をすますと、帰りはすこし遅くなるかもしれぬといつて、いそいそと出て行つた。 真喜は、友達の家を訪ねる約束があるといい、これも、一人で、あたふたと出掛けた。
一昨日だつてさうだわ
娘 一昨日だつてさうだわ。ダリヤの球根を持つて行つてあげた時ね、あん時なんか、みんなお庭にゐたのよ、それにあの人だけ、あたしの方を振り向きもし
ないの。おまけに云ふことが云ふことなのよ。「そんなものを貰つたつて、植ゑるところがないや」――かうなの。あたし泣きたくなつたわ。
母 随分をかしな人だね。でも、二人つきりの時は、そんなでもないんだらう。
娘 (うなづく)
母 優しくすることはするんだらう。
開け放された正面の丸窓
開け放された正面の丸窓から、葉桜の枝が覗いてゐる。
母は、縫ひものをしてゐる。
娘は、その傍らで、雑誌の頁を繰つてゐる。
――間。
娘 (顔をあげ、無邪気らしく)あたし、どうでもいゝわ。
母 (わざと素気なく)母さんもどうでもいゝ。(間)どうでもいゝことはないよ。(間)お前も少しはかんがへたら……?
娘 考へるつて……だから、あたし、母さんのいゝやうにするわ。
母 母さんは別に異存はないよ。たゞお前の気持さ、大事なのは……。
お帰んなさい
野見 (もえ子の姿を見て)お帰んなさい。早かつたですね。 もえ子 電車が大変……。 野見 もう聞いた、その話は……。 もえ子 誰から……。 野見 それより、「東方時論」を買つて来てくれましたか。 もえ子 まだ出てないんですつて……。 野見 そんな筈はないさ。今日は五日ですよ。毎月、一日発行の雑誌が五日になつても出ないなんて法はありませんよ。