手先の技巧の勝れて


手先の技巧の勝れて、込み入った意匠に富んだアイヌ系統の民族の性質も受けておれば、至って淡泊な、アッサリとコテづかない、考古学上に所謂弥生式系統の 民族の性質をも受けついでいる。かくてその優良なるものが残ったのが我が日本民族であります。そしてその民族のすべては、優勝者であり、統治階級にいると ころの天孫民族の伝説を信じて、天孫民族に仲間入りしてしまっている。先刻さしあげた「民族と歴史」の中にも書いてあります通り、枳殻や、柚子や、橙や、 いろいろの柑橘類が、みな温州蜜柑の接木によって、ことごとく温州蜜柑になってしまっているのです。もっともその出来上った温州蜜柑も、台木の性質によっ たり、土地の肥瘠、培養の仕方、風土・気候の関係等に依って、必ずしもことごとく同一でなく、甘いのと、酸っぱいのと、大きいのと、小さいのと、肌の荒い のと、細かいのとという風に、種々の区別はありますが、同じく温州蜜柑としては区別がないが如く、日本の土地に色々な民族がおったことは確かであります が、それがことごとく結び合って、天孫民族ということになってしまったものだと我々は考えているのであります。しかしてこれすなわち所謂日本民族なのであ ります。この日本民族は、後世階級思想が盛んになって、互いに結婚しなくなった様な部族の間柄でも、昔は構わず婚を通じておりました。したがってすべての 日本人は、みないつかは親族関係を有したもので、本来は同じ者だという事になる。或いは地方により、また部族により、その組織上の要素の配合に、多少濃淡 の差があるかもしれませぬが、大体に於いて同一日本民族たることを疑わぬのであります。高田馬場で美フォルムカット

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