お前さんは、また

お八重さん  ……。 おしまさん  お前さんは、また、それとは違ふよ。なんと云つても相手は御主人なんだし、それに、これまで、気だての好い娘だつていふんで通つてるあんた のことだから、誰も、それを知つたつて、悪く思やしないさ。 お八重さん  誰が云ひふらしたんだらう、そんなこと……。 おしまさん  誰も云ひふらしやしないさ。ひとりでに知れて行くのさ。 お八重さん  (途方に暮れて)困つちまふわ、あたし……。 おしまさん  奥さんは、まだ知らないんだらう。 お八重さん  うすうす感づいてるらしいの。

お八重さん  ……。 おしまさん  お前さんは、また、それとは違ふよ。なんと云つても相手は御主人なんだし、それに、これまで、気だての好い娘だつていふんで通つてるあんた のことだから、誰も、それを知つたつて、悪く思やしないさ。 お八重さん  誰が云ひふらしたんだらう、そんなこと……。 おしまさん  誰も云ひふらしやしないさ。ひとりでに知れて行くのさ。 お八重さん  (途方に暮れて)困つちまふわ、あたし……。 おしまさん  奥さんは、まだ知らないんだらう。 お八重さん  うすうす感づいてるらしいの。 おしまさん  それや、大変だ。感づいてるつて、どういふ風に……。 お八重さん  旦那さまの御用を、わざとあたしに云ひつけたりなにかなさるの。 おしまさん  さういふことがあつてからかい。 お八重さん  それや、つい、近頃のことだけれど……。少し根が固かない? おしまさん  (頭に手をやつて)いいえ、これで結構……。ほんとに上手だわ。ありがたう。ここ、このままにしといていいの。 お八重さん  あたしが、あとで片づけるからいいわ。 おしまさん  (長火鉢のところに戻り)そいで、何か、あてつこすりのやうなことを云ふんぢやないの。 お八重さん  そんなことは別におつしやらないけれど……この間、変なことがあつたの。 おしまさん  どんなこと? お八重さん  旦那さまのお留守に、今まで、来たこともない若い学生さんみたいな人が来たのよ。 おしまさん  男の? お八重さん  ええ、男の……。 おしまさん  上つたの。 お八重さん  まあ、聴いてらつしやいよ。さうしたらね、奥さんがねあたしにかう云ふの――その男が帰つてから後でよ――今日あの人が来たつていふこと は、旦那さまには内証だよ。その代り、旦那さまの方にも、あたしに内証のことがある筈だから、それは、あたしが知らないつもりにして置くからつて……。 おしまさん  (感心して)さうかい。さういふことがあつたかい。 お八重さん  どう、もう一つ、おせんべ……。 おしまさん  ああ、おくれ。仙台ソープ|仙台風俗.NET

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